窓際の景色

書評、釣行記。

【書評】『なぜ大企業が突然つぶれるのか 生き残るための「複雑系思考法」』(PHPビジネス新書刊、夏野剛著)

 2000年代前半の検索革命によって個人の情報収集能力は飛躍的に向上しました。

 それ以前の経営層、マネジメント層への情報集中化から凡ゆるレイヤーも同等、或いはそれ以上の情報へのアクセスが可能になりました。

 また、終身雇用、新卒一括採用による人材の平準化を善としてきた考え方も見直す必要な時代を迎えています。

 経済成長が後押しし、固定化された人材で生まれた財やサービスだけでも充分な恩恵に与れた時代は、プラザ合意による急激な円高、その後の垣根の無いグローバル経済の下では上手く機能する事が出来なくなってきました。

 世界中が熱狂したiPhoneiPadを世に送り出した アップルコンピュータ。アップルの故スティーブジョブズに代表される、世の中に無いものの創造、既成概念に囚われない思考力を有した経営者は日本企業の中からは生まれないでしょう。

 現在、世界情勢、経済状況、そして、消費行動は日々変化しています。世界の国々、人種は多様である。フラット化された世界ではビジネスは変化を前提としなければ、商品開発、サービス等は無用なものとなってしまいます。

 多様なるもの同士が反応すると全く似て非なるものが出来上がり、分析が不可能なものとなる。(著者は「複雑系」と定義)

 現在のグローバル経済を生き抜く為には「複雑系」思考が出来る人材育成が急務です。

 

 NTTドコモでimode開発をリーダーとして統括した実績、世に無いものを創造した著者夏野剛氏。経団連に代表されるTHE株式会社日本、均一化された教育システム、既得権益層に自己改革を促す。