窓際の景色

書評、釣行記。

【書評】「10年後に食える仕事 食えない仕事」(東洋経済新報社刊、渡邉正裕著)

 
 独立系のニュースサイトMyNewsJapanを主宰し、日本人の働き方から日本経済、グローバル経済に鋭い洞察力で発信し続けている著者の最新刊である。
 ここ数年、沈み行く日本経済の中で如何に生き残っていくか、どういったスキルが必要なのか、また、働き方の動機付けと云った書籍(「2022-これから10年、活躍出来る人の条件(PHPビジネス新書、神田昌典著)」、「モチベーション3.0(講談社、ダニエル・ピンク)」等)が多数刊行されており枚挙に暇がない。
 本書はITによる[フラット化する世界]の中、日本人ならではの勤勉さ、顧客へのサービス精神は新興国の労働力に置換出来ない仕事をジャパンプレミアムとしてしています。日本旅館の女将、住宅販売のセールス、保険セールス、各種地域営業が其れである。そのジャパンプレミアムに高付加価値スキルと高度な日本語、日本人ネットワークを要する仕事は外国人労働者の参入障壁は高い。弁護士、医師などの士業などが相当する。対局に日本人メリットを発揮出来ない仕事は雪崩をうって重力の法則により労働対価が激減し、労働コストが安価な中国、インドなどの新興国の労働力に置き換わり世界最低賃金に収斂されていく。
 そして、ジャパンプレミアムが発揮出来ず技能集約的な労働は瞬く間に賃金10分の1の中国、インド労働者に取って代わられてしまいます。コールセンター業務や単純な入力作業などは日本語をこなせる中国大連などのコールセンター集積地に置き換わったところで特段の不便はないのは明らかです。
 グローバル化により価値をなくしてしまう仕事は確実に増大し、働き方以前に如何に仕事にありつき食いっぱぐれないかの指南書である本書は就職活動を控えた学生の必読書であるとともに社会人が自身の職業を見つめ直す上での診断書でもある。