窓際の景色

書評、釣行記。

【書評】「社長は労働法をこう使え!」(ダイヤモンド社刊、向井蘭著)

 中小企業経営における社長の役割は中長期的に安定的な利益を創出する事とその会社を継続させる事、そしてその事業を通して社会貢献を果たすという事です。そして、その使命を遂行する過程においてなくてはならないもの、それは言うまでもなく労働力です。しかし、時として、その貴重な労働力である被雇用者は、故意にトラブルを頻発させるモンスター社員と化したり、過大な残業代を請求したりといった経営の根幹を揺るがしかねない行動を取ったりします。
そして、中小企業経営者で労働法に精通している人は稀で、上記の様な行動を被雇用者に起こされると慌てふためくばかりでなにも対応出来なかったり、使用者という立場で不合理で感情的な対応しか取れず労働争議に発展する方が殆どです。
日本には三万人程の弁護士が居ますが、経営者側に立って且つ労働問題を専門に取り扱う数少ない弁護士は僅か百名です。
その希少な一人である著者が実務と経験に基づいた事例を紐解きながら、そもそも労働法とは?ぶら下がり社員を解雇するには?残業代を抑えるには?不良社員に辞めてもらう為の効果的な人事異動の活用方法は?など町工場の社長も含めた凡ゆる経営者が避けて通れない労務問題です。その為にも上手に付き合っていかなければならない労働法のイロハを学べる最良のテキストと言えるでしょう。