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窓際の景色

書評、釣行記。

【書評】「財務省」(新潮社刊、榊原英資著)


 ミスター円と呼ばれた元財務官僚の著者が野田佳彦内閣、民主党に突き付ける痛烈なアンチテーゼが本著のモチベーションとなったと推察する事は難くない。
総理を始め、外務大臣、政調会長など内閣、党の要職は松下政経塾出身者が占めています。選挙戦術には長けているものの行政の実務経験に乏しく、民間企業での勤務経験もない彼らには財界とのパイプはなくブレーンがいません。彼らこそ、小泉内閣竹中平蔵のように民間人を起用し政策を実行する必要があったはずです。
省庁の中の省庁である財務省。ノブレスオブリージュ、エリートであることを自覚し、傲ることなく責任を全うすることを約束する彼ら。 民主党政権誕生後、以前にも増して給与削減、人員削減等公務員特に国家公務員への風当たり、批判は一層激しくなっています。そんな風潮を意に介さず、その組織の住人であった者にしか解らない真のエリートの実像を気負う事無く描いている本著には目から鱗が落ちる思い、且つ痛快ですらあります。
長年勤めた古巣が政治へ及ぼす影響力、天下りの是非、人事システム、そして大蔵スキャンダルまで愛情を持った筆致で描ききった力作。消費税増税法案が可決された今夏こそ必読の一冊でしょう。