【書評】「不格好経営 チームDeNAの挑戦」（南場智子著、日本経済新聞出版社刊）

　モバゲー、DeNAベイスターズで有名な株式会社ディー・エヌ・エーの創業者であり、取締役である南場智子氏の初上梓した本著。

　大前研一氏が在籍していた事でも有名な世界的コンサルティング会社マッキンゼーでパートナーまで務めた氏がインターネット黎明期に立ち上げたD社の目覚しい発展と七転八倒の歴史が人間味溢れる登場人物とも相まって臨場感溢れるストーリーに仕上がっている。D社のサクセスストーリーにとどまらず、氏の思春期からマッキンゼー入社に至る迄の厳格な実父との壮絶な迄の関係を描いた記述も今の氏を知る上での重要な要素で見過ごす事は出来ないだろう。

 　ベンチャー企業の持続した成長には多様な人材の確保、教育（D社に於いては徹底した“任せる”を実践）の必要性を痛感させられる一冊である。

　読売新聞社主筆ナベツネこと渡辺恒雄さん、ソニー株式会社元社長の出井信之　@Nobuyuki_Idei さん、大前研一さんなど著名な方の記述も多数あり、氏の豊富な人脈も本著の賑わいとなっている。

　また、発展や成長を促す対象は違うが、人材に資源を集中させることだけが日本の成長に繋がると説いた小幡績 @sobata2005 さんの「成長戦略のまやかし」を思い出した。

 

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　kindleにて読了