【書評】「成長戦略のまやかし」(小幡績著、PHP新書刊)
アベノミクスを含めた多くの成長戦略は政府によって特定の産業や 地区を指定してお金を中心とした資源を投入し( ターゲティングポリシーと云う)、 その産業や地区を短期的に発展させ、 それを梃子に経済を成長させる事である。
しかしながら、 生き馬の目を抜く民間企業経営者達にとって戦略地区や分野は先刻 承知の事で、既に投資対象として資源を投下している筈であるし、 また、そう行動する事が合理的な筈。つまり、 政府が指定する産業や地区は的外れな事が常である。経済を成長させるには人を育成し、 人がエンジンとなって牽引して行く以外に方法が無い。よって、 あらゆる政策は人に向けて行わなければならない。
巷間、食傷気味な程、様々な有識者が教育の在り方、 重要性を論じている。著者のそれは、都市と地方の関係性、 都市に於ける人、地方に於ける人、また、 地方から都市に流入する人の多様性の重要性にまで言及した論考( 成長戦略=人の育成に資源を集中させる)であり、其れは彼等とは一線を画している。
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