窓際の景色

書評、釣行記。

【書評】「ロスジェネの逆襲」(池井戸潤著、ダイヤモンド社刊)

 フィクションを読むのはいつ以来か。先日の最終回で平成の民放ドラマ史上最高世帯視聴率を記録したTBS系列「半沢直樹」の余韻が覚めやらない。ドラマ化の条件として半沢直樹氏の頭取就任までのシナリオ提示をプロデューサーに求められたとか。

 本書は営業第二部次長の座を追われた半沢直樹が系列子会社「東京セントラル証券」出向し、営業企画部長として難問を持ち前の正義感と手段を選ばぬ遂行力は健在だ。物語としては凄くシンプル。題名の通り、バブル世代とロストジェネレーション世代の確執と各々の葛藤がメインテーマのようだが、スピード感溢れる新旧IT企業の劇場型M&A、銀行本店とその子会社のプライドを賭けた仁義無き戦い(利益相反など些か現実離れではある)、そして半沢直樹の存在感際立ち、テーマ性は希釈されてしまってはいる。しかし、エンタテインメントとしては秀逸で一気読み必至は間違いない。

                                kindleにて読了