【書評】「フラッシュ・ボーイズ」(マイケル・ルイス著、文藝春秋刊)
曲がりなりにも株式取引を齧っている者としてはアメリカの株式市場の昨今の変貌ぶりに驚愕させられる事となった。
秒速どころかマイクロ秒の寸隙をカネで買うのだ。同業者を出し抜く為に取引所に少しでも近い所にデータベースを設置する事に凌ぎを削る。(取引所内に設置する事がもはや一般的となっているのだが)
光ケーブル敷設に伴い、株式取引はもとより凡ゆる取引、連絡はボタンひとつ、ワンクリックで完結する。常識的には理解し難いが、これより先のアドバンテージ(マイクロ秒)は拠点つまり立地という事になるのであろう。
公正を謳うマーケットにとっては鬼っ子だが、年々取引シェアを伸ばすこの業者を無視する事が出来なくなったのだ。